映画『友だちの恋人』のロケ地、「セルジー=ポントワーズ(Cergy-Pontoise)」

映画『友だちの恋人』のロケ地、「セルジー=ポントワーズ(Cergy-Pontoise)」

イラスト:集合住宅「ヴェルベデール・サン・クリストフ」。広場の中心の白い塔が新都市のセルジー・ポントワーズとパリの歴史軸を結ぶアートプロジェクトのスタート地点となっている。(Illustration by Fumi)

 

 

ヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督のひとり、エリック・ロメール。彼の映画『友達の恋人』(1986)のロケ地は、当時フランス新都市開発における開発が始まったばかりのニュータウン、セルジー=ポントワーズが舞台になっている。セルジー=ポントワーズには、1980年にスタートしたイスラエルのアーティスト、ダニ・カラヴァン(Dani Karavan)によるアートプロジェクトとして、パリのカルーゼル凱旋門まで結ぶ「大都市軸(L’Axe Majeur アックス・マジャール)」の美しいアートビューが有名。

 

 

セルジー=ポントワーズ(Cergy-Pontoise)

パリから北西へ約40キロ。パリのリヨン駅からはRER A4線で約45分で行くことができる。パリから大きく蛇行して流れるセーヌ川と、オアーヌ川が合流するエリア付近。マルヌ=ラ=ヴァレと同じように「新都市計画」のひとつとして1969年から開発がはじまった。

エリック・ロメールの映画『友だちの恋人』のロケ地の中心となっているのは、市役所やプールなどがあり、このエリアの経済的中心地となっているセルジー・プレフェクチュール駅(Cergy Préfecture)付近と、その隣のセルジー=サン=クリストフ駅(Cergy Saint-Christophe)。
ヨーロッパで一番大きいといわれる時計が目印のセルジー・サンクリストフ駅の近くには集合住宅ヴェルベデール・サン・クリストフ(Belvédère Saint Christophe)があり、その広場の中心にはアートプロジェクト「大都市軸」(L’Axe Majeur アックス・マジャール)」のスタート地点となる白い展望塔La Tour Belvédèreがある。この白い集合住宅はマルヌ=ラ=ヴァレのアブラクサスをデザインしたリカルド・ボフィルによるもので、窓から遠くにパリの高層ビル群を見ることもできる。

 

「大都市軸」(L’Axe Majeur アックス・マジャール)」

イスラエルのアーティスト、ダニ・カラヴァン(Dani Karavan)によって1980年にスタートしたアートプロジェクト。集合住宅ヴェルベデール・サン・クリストフの広場にある白い展望塔La Tour Belvédèreをスタート地点として、12本の円柱を持つ広場、赤色の橋、池の中の小さなピラミッドまでの約3キロを結ぶライン。その軸の先は、はるかパリ近郊の都市開発地区、ラ・デファンス(La Défense)を抜け、シャンゼリゼ通り、ルーブル美術館のカルーゼル凱旋門を結ぶパリの歴史軸へと一直線につながっている。
また、高さ36メートルある白い展望塔La Tour Belvédèreは大都市軸方面へ3度傾いており、中に入ることもできる。新都市のセルジー・ポントワーズとパリの歴史軸を結ぶこのアートプロジェクトは37年以上経った現在でも進行中である。

 

建築家リカルド・ボフィル(Ricardo Bofill)

1939年、スペインバルセロナ生まれの建築家。バルセロナ建築学校,ジュネーブ建築大学を経て、1963年に、Ricardo Bofill Taller de Arquitectura(RBTA) リカルド・ボフィル・タリエル・デ・アルキテクトゥラ(タリエル・デ・アルキテクトゥラはスペイン語で建築工房)を設立。70年頃にパリにも拠点を作り、74年からのパリ・レアール再開発計画で世界的にも注目された。アブラクサスやヴェルベデール・サン・クリストフなど、フランスの新都市計画において活躍した。
他にも、バルセロナ国際空港(1991)、カルティエ本社 (1998)などのほか、日本のユナイテッドアローズ原宿本店(1992)、東京銀座資生堂ビル(2001)、ラゾーナ川崎プラザ(2006)など世界各地で活躍している。1975年からは、バルセロナのサン・ジュスト・ダスベルン(Sant Just Desvern)のセメント工場をリノベーションして、自宅兼事務所として使用している。