スイス、『ミュンヘンシュタイン』にある、ヘルベチカ発祥の地、旧ハース活字鋳造所

スイス、『ミュンヘンシュタイン』にある、ヘルベチカ発祥の地、旧ハース活字鋳造所

イラスト:旧ハース活字鋳造所

 

1957年、スイス人タイプフェイスデザイナーのMax Miedinger とEduard Hoffmannによって「ノイエ・ハース・グロテスク( Neue Haas Grotesk) 」は、スイス、ミュンヘンシュタインにあるヘルベチカ発祥の地、ハース活字鋳造所で開発され発表された。「ヘルベチカ」という名前は、その後、1960年にステンペル社が「ノイエ・ハース・グロテスク( Neue Haas Grotesk) 」を「ヘルベチカ」と名前を変えて発表してからにはなるが、ここハース活字鋳造所がヘルベチカ発祥の地であることは間違いない。

 

ヘルベチカに関するいくつかの資料
『Helvetica forever』(BNN新社)はヘルベチカの歴史や貴重な資料が掲載されている。『HELVETICA』はスイスのLARS MULLERから出版されており、ヘルベチカが使用されているさまざまな事例が掲載されているコンパクトサイズな一冊。DVD『ヘルベチカー世界を魅了する書体ー」(アスミック・エース・エンタテインメント)はヘルベチカ生誕50周年にあわせて製作されたDVD、貴重な資料や現場、デザイナーや関係者の言葉によってヘルベチカが映像で語られている。

 

 

スイスのミュンヘンシュタイン
スイスのミュンヘンシュタインはフランス、ドイツ国境近くにあるバーゼル=シュタット準州のなかにある人口約1万2千人の小さな町。アート・バーゼルで有名な州都バーゼルの南に位置しており、土地面積は7.18 平方キロメートルと京都の上京区の面積とほぼ同じ。主な言語はドイツ語、フランス語。通貨はスイスフラン(SFR)。東京からミュンヘンシュタインまでの直線距離は約9620kmになる。日本からバーゼルへの直行便は出ていないため、スイスインターナショナルエアラインズでは、成田発でミュンヘンシュタイン近くの都市チューリッヒまでの直行便で、チューリッヒから電車で約1時間かけてバーゼルまで移動しなくてはならないため、飛行機だけの乗り換えを考えると、エールフランスを使ってパリ経由でバーゼルに近いユーロ・エアポート(バーゼル・ミュールーズ・フライブルグ国際空港)に行くのがよさそうだ。

 

 

かつてハース活字鋳造所があった場所
Gutenbergstrasse 1,
4142 Münchenstein, Switzerland
にいくには、トラムにのって、Heiligholz(ハイリグホルツ)駅で下車、そこから歩くことができる。

バーゼルの市内交通にはバス14 路線とトラム13路線があり、料金はゾーン+時間制でチケットは停留所の券売機や駅などの窓口で購入が可能。ホテルでもらったMobility Ticketを持っていれば乗車券を購入する必要はないだろう。トラムの乗降時にはドア近くのボタンを押して開ける。乗車時に改札はないが、検察官による検札はあるので注意が必要。無賃乗車は罰金が課せられる。

トラムのHeiligholz(ハイリグホルツ)駅で降りると、進行方向には小さなロータリーがあるが、逆にトラムと平行にある道Emil Frey-Strasse(エーミル・フライ通り)を三叉路まで戻る。三叉路に出たら右折してGutenberg strasse(グーテンベルグ通り)をまっすぐ進む。のどかな公園のような緑の多い道を進み、Birken strasse(ビルケン通り)を横切り、さらにAhorn strasse(アホルネン通り)のT字路を過ぎると、右側にハース活字鋳造所の名前と関係のあるWilhelm Haas-Weg(ウィリアム・ハース通り)の看板が見えてくるはずだ。その先にレンガで作られた丸い屋根の建物が見えてくる。それこそが旧ハース活字鋳造所だ。いまから58年前、ミュンヘンシュタインという小さな街の、この静かな一画で、ヘルベチカが生まれたと思うと感慨深いものがある。

日本に帰る前にバーゼル名物の「レッカリ」を買うのを忘れないように。